前回、BRITANNIARとは、英語の「British territories(英国領土)の」を表すラテン語のBRITANNIARUMの略語であると分かったという話を紹介しました。
⇒ 「2.なぜジョージ4世以降の銅貨の銘はBRITANNIAではなくBRITANNIARと最後にRがつくのか(回答編1)」
そして、最後に「British territories(英国領土)とは具体的にどこを指すのでしょうか?」と疑問を提起しました。
それに対する回答が、ビクトリア&アルバート博物館から来たので紹介したいと思います。
結論から言うと、British territories(英国領土)とは、イングランドやスコットランドのあるブリテン島と、その隣りのアイルランド島、及び周辺の島々を表す、ブリテン諸島 British Isles (Islands) を指すとのことでした。
そして、海外の植民地は含まれないとのこと。
私は、territories(領土)と聞いたときに、「領土」という語感から、海外の植民地を指すと勝手に思い込んだのですが、そうではなかったということです。
('British territories' are the British Isles' (and not overseas colonies). )
では、なぜジョージ3世までは単数形のBRITANNIA(Britain)が使われ、ジョージ4世からは複数形のBRITANNIAR(of the British territories)が使われるようになったのでしょうか。
考えられるのは、1801年のアイルランドの併合です。
それまで、アイルランド王国は、グレートブリテン王国(イングランドとスコットランドの連合)の植民地でした。
それが、1800年の連合法によって、1801年にグレートブリテン及びアイルランド連合王国となったのです。
それが理由で、British territories(英国領土)と複数形に変わったのではないでしょうか。
ただし、これはまだ私の推測です。
ということで、確認するために、今度は大英博物館に以下の通り照会してみました。
(ビクトリア&アルバート博物館から、更なる質問は大英博物館の方がよいとの示唆を受けたためです。)
Someone told me that BRITANNIARUM is the Latin possessive plural form of BRITANNIA, which means 'of the British territories' or 'of the British Islands'. Is it possible to suppose that the reason why they didn't use single word 'BRITANNIA' any more but used plural word 'BRITANNIARUM' is because since 1801 Ireland had become part of United Kingdom of Great Britain AND Ireland, two, more than one, territories/Islands?
因みに、ジョージ3世の治世は、1760年から1820年までです。
1801年は、その途中ということになります。
そして、1801年以降に作られたジョージ3世の金貨で、BRITANNIAR(UM)が使われているものがあります。
一方、ジョージ3世の銅貨では、1801年以降でも、BRITANNIAが使われています。
金貨と銅貨で対応が異なる件については、また別途検討ということで。
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時の流れに培われた銀貨特有の味わいに魅せられて、アンティークコインの世界に入ってしまいました。主に英国や英連邦のコインから収集が始まりましたが、特に対象を限定している訳ではありません。コインのデザインや美しさを通じて、今まで知らなかった歴史や文化に触れることができ、知的興味の世界は無限に広がっていきそうです。
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