ダイムは、かつて20年以上前に米国のボストンに住んでいた頃は、毎日のように使っていた硬貨です。
当時、ボストンのバスはお釣りが出なかったので、運賃の60セントをクオーター(25セント)とダイム(10セント)で、たくさん用意していたものでした。
そんな日常的なダイムを、今では虫メガネで大事に観察する日が来るなんて隔世の感があります。
ダイムは、1964年までは銀含有率が90%の銀貨で、1965年以降中心が銅で外側がクプロニッケル(銅75%、ニッケル25%)の二層構造の硬貨に変わりました。
当時、気をつけて見ていれば、お釣りの中のダイムにも銀貨があったかもしれません。
表は、米国第32代フランクリン D. ルーズベルト大統領の左向きの胸像が描かれています。
大統領が1945年に他界した後、1946年からダイムのデザインに採用され、現在に至っています。
英国などでは、現国王・女王の胸像が使われるのに対して、米国では過去の大統領の胸像が使われるところが対照的で面白いです。
(まあ、大統領の任期である4年や8年毎に、いちいちデザインは変えていられないのでしょうが)
銘は、LIBERTY, IN GOD WE TRUST, 1964 。
「自由、我々は神を信じる、1964年」
彫刻師は、John R. Sinnock (1888-1947) で、胸像の下(1964の左)に JS のイニシャルが見えます。
松明は自由、オリーブの枝は平和、オークの枝は力強さと独立を象徴しているとのこと。
その背景に、E・PLURIBUS・UNUM (Out of many, one) と、ラテン語で国のモットーが記されています。
「多くから1つ」
独立戦争などで州がまとまったのでしょうが、いかにも多民族が集まった移民国家らしいモットーです。
因みに、このモットーは広く認識はされていたものの、公式のモットーは表側に書かれた IN GOD WE TRUST だそうです。
そして周りには、UNITED STATES OF AMERICA, ONE DIME と、国名と金額が記されています。
なぜか 10 CENTS とは書かれていません。
DIME は、10分の1を表すフランス語の disme(ラテン語の decima)から来ているとのことですが、どうしてわざわざそんなことをしたのでしょうか。
また20年以上前の話になってしまいますが、ニッケル(5セント)より小さいので、慣れないうちはどちらがどちらか混乱したものでした。
話を本題に戻します。
松明の下の方の左側には、デンバー造幣局を示す D のミントマークが見えます。
彫刻師は、表側と同様に John R. Sinnock (1888-1947) です。
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