今回は、英国で1797年に鋳造された2ペンス銅貨を紹介します。
この銅貨、とにかくデカくて重いのです。
直径が41mm、重さが56.7gあります。
下の写真で、デカさを実感して下さい。
左がこの2ペンス銅貨、中央が同じ年に作られた1ペニー銅貨、右が日本の500円硬貨です。
卑近な例で申し訳ありませんが、銭形平次がこの銅貨を投げて、頭にでも当たったら、当たり所が悪ければ悪い奴が死んでしまうほどの威力がありそうです。
因みに、厚さも5mmあります。
こんなに大きくて重いと、持ち運びも大変で不便だったであろうに、何故こんなにデカい銅貨を作ったのでしょうか。
当時、贋金が横行していたとのこと。
貨幣に信用がなかったということです。
この問題を解決するために、銅貨の額面と、使用する銅の価値と一致させることにしたそうです。
確かに、そうすれば、贋金を作るメリットもなくなり、また、たとえ受け取り側が贋金を掴まされたとしても、使用された金属にそれだけの価値があるので、安心して受け取ることができます。
そして、当時、銅の価格は1オンス(28.35g)が1ペニーだったため、2ペンス銅貨には2オンス(56.7g)の銅が使われたとのことです。
なるほど。
因みに、この銅貨は、この形状から「車輪(Cartwheel)」と呼ばれています。
表は、月桂冠を被った右向きのジョージ3世。
銘は、GEORGIUS III・D:G・REX.(George III, by the Grace of God, King)。
彫刻師は、裏表共に、ドイツ出身のConrad Heinrich Kuchler (1740-1810)です。
本来であれば、ドレープの左下の辺りに K のイニシャルがあるらしいですが、残念ながらこの銅貨では見ることができません。
裏は、左向きに座ったブリタニアが描かれています。
左手でトライデント(三叉槍)、右手でオリーブの枝を持ち、左脇にはユニオン旗の盾が置かれています。
そして、足元には波、左奥には船が見えます。
銘は、BRITANNIA. 1797。
波の右端には、この銅貨が鋳造されたバーミンガムのソーホー造幣所を表すSOHOの文字が見えます。
この2ペンス銅貨は、本当に前から欲しかったのです。
求めよ、さらば与えられん。
ほんとにドッシリと重いのです。
にほんブログ村