2020年1月29日水曜日

英国 ジョージ3世 2ペンス銅貨 1797年

今回は、英国で1797年に鋳造された2ペンス銅貨を紹介します。



この銅貨、とにかくデカくて重いのです。

直径が41mm、重さが56.7gあります。

下の写真で、デカさを実感して下さい。

左がこの2ペンス銅貨、中央が同じ年に作られた1ペニー銅貨、右が日本の500円硬貨です。















卑近な例で申し訳ありませんが、銭形平次がこの銅貨を投げて、頭にでも当たったら、当たり所が悪ければ悪い奴が死んでしまうほどの威力がありそうです。

因みに、厚さも5mmあります。

こんなに大きくて重いと、持ち運びも大変で不便だったであろうに、何故こんなにデカい銅貨を作ったのでしょうか。

当時、贋金が横行していたとのこと。

貨幣に信用がなかったということです。

この問題を解決するために、銅貨の額面と、使用する銅の価値と一致させることにしたそうです。

確かに、そうすれば、贋金を作るメリットもなくなり、また、たとえ受け取り側が贋金を掴まされたとしても、使用された金属にそれだけの価値があるので、安心して受け取ることができます。

そして、当時、銅の価格は1オンス(28.35g)が1ペニーだったため、2ペンス銅貨には2オンス(56.7g)の銅が使われたとのことです。

なるほど。

因みに、この銅貨は、この形状から「車輪(Cartwheel)」と呼ばれています。























表は、月桂冠を被った右向きのジョージ3世。

銘は、GEORGIUS III・D:G・REX.(George III, by the Grace of God, King)。

彫刻師は、裏表共に、ドイツ出身のConrad Heinrich Kuchler (1740-1810)です。
本来であれば、ドレープの左下の辺りに K のイニシャルがあるらしいですが、残念ながらこの銅貨では見ることができません。























裏は、左向きに座ったブリタニアが描かれています。

左手でトライデント(三叉槍)、右手でオリーブの枝を持ち、左脇にはユニオン旗の盾が置かれています。

そして、足元には波、左奥には船が見えます。

銘は、BRITANNIA. 1797。

波の右端には、この銅貨が鋳造されたバーミンガムのソーホー造幣所を表すSOHOの文字が見えます。















この2ペンス銅貨は、本当に前から欲しかったのです。

求めよ、さらば与えられん。

ほんとにドッシリと重いのです。

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国名英国
金額2ペンス
発行年1797年
発行枚数722,100
統治者ジョージ3世(在位1760-1820)
硬貨タイプ標準流通貨
材質
重量56.7g
直径41mm
厚さ5mm
参照番号KM#619, Sp#3776


2020年1月19日日曜日

英国 ビクトリア女王 ファージング銅貨  1840年

英国で1840年に鋳造された、1ファージング銅貨を紹介します。


ビクトリア女王は、ウィリアム4世の後を受けて、1837年に即位しましたが、ビクトリア女王のファージング銅貨は、翌年の1838年から鋳造され始めました。

1ファージングは、4分の1ペニー。

直径は22mm、重さは4.72gです。



表は、左を向いたビクトリア女王の肖像です。

ビクトリア女王の肖像は次の3種類があり、

1.Young Head (1838-1860)

2.Bun Head (1860-1894)

3.Old Veiled Head (1895-1901)

この肖像は、一番最初のYoung Headの肖像(即位当時の18歳のもの)です。

銘は、VICTORIA DEI GRATIA 1840(Victoria by the Grace of God)。


彫刻師は、英国王立造幣局のWilliam Wyon (1795-1851)。

首の断面に、WWのイニシャルが浮き彫りになっているのが見えるでしょうか。























裏は、左手でトライデント(三叉槍)、右手でユニオンジャックの盾を持ったブリタニアが右向きに座っています。

そして、下には、

左:シャムロック(三つ葉のクローバー)の花(アイルランドの国花)

中央:チューダーローズ(バラ)の花(イングランドの国花)

右:あざみ(スコットランドの国花)

と、それぞれの国花が描かれています。

銘は、BRITANNIAR:REG:FID:DEF.. (Queen of the Britains, Defender of the Faith)。

硬貨を鋳造する際の型にはバリエーションがあり、この銅貨には以下の特徴があります。

1.BRITANNIARのBの飾り(セリフ)が1つしかない(上の飾りがない)




B の次の R や I を見ると、文字の左側の上下に飾り(セリフというそうです)がありますが、この銅貨の B には上の飾りがありません。

2.DEF の後がコロン(:)ではなくダブル・ストップ




DEF の後は、通常コロン(:)なのですが、この銅貨はダブル・ストップ(ピリオドが2つ、ほぼ重なっている)になっています。

また、他のパターンとして、シングル・ストップ(ピリオドが1つ)というのもあるそうです。

こういうバリエーションを発見するのも、それだけ珍しい硬貨だということが分かり、中々楽しいものです。

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国名英国
金額1ファージング
発行年1840年
統治者ヴィクトリア女王(1837-1901)
硬貨タイプ標準流通貨
材質
重量4.72g
直径22mm
厚さ1.6mm
鋳造数3,010,500
鋳造場所英国ロンドン
参照番号KM#725, Sp#3950

2020年1月4日土曜日

ニュージーランド エリザベス2世 クラウン記念白銅貨 1953年

今回は、1953年のエリザベス2世の戴冠を記念して鋳造された、ニュージーランドのクラウン白銅貨を紹介します。


新年早々の2020年1月2日、リカトンの切手ディーラーのお店で見つけた、縁起物の一枚です。

ニュージーランドのクラウン硬貨は、

1.1935年のワイタンギ条約記念銀貨

2.1949年のジョージ6世訪問記念銀貨(実際には未訪問)

3.1953年のエリザベス2世戴冠記念白銅貨

の3種類しか作られておらず、この白銅貨はニュージーランド最後のクラウン硬貨となりました。

「クラウンなんだから当たり前だろ」

と言われそうですが、持ってみると、大きくて、重くて、なかなか立派です。

直径38.61mm、重さ28.28g、厚さ2.9mm。

日本の500円硬貨と比べてみて下さい。















大人と子供くらいの違いがあります。























表は、月桂冠を被った右向きの若いエリザベス2世の肖像が描かれています。

銘は、+QUEEN・ELIZABETH・THE・SECOND。















彫刻師は、Mary Gillick (1881-1965) 。

首の下の断面にMGのイニシャルが彫られています。



裏は、王冠付きのロイヤル・モノグラム E II R とマオリ族の彫刻デザインが描かれています。

E II R のERは ラテン語のElizabeth Reginaの略で、Queen Elizabeth を表し、中央には2世を表す II が配されて、Queen Elizabeth the second の意。

さて、このデザインの中に星はいくつあるでしょうか?

王冠の上のZEALANDとCROWNの間に1つ、E II Rの左右に1つずつ、そして下の1953とNEWの間にちょっと大きめなのが1つ。

合計4つあります。

これらは何を表しているか?

4つの星を繋げてみて下さい。

ニュージーランドの国旗にも使われている南十字星(サザンクロス)が現れました。

銘は、NEW ZEALAND CROWN + 1953。

彫刻師は、ニュージーランドの切手/コインデザイナー Robert Maurice Conly (1920-1995) です。

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国名ニュージーランド
金額1クラウン
発行年1953年
発行枚数257,000
統治者エリザベス2世(在位1952-)
硬貨タイプ記念流通貨 Coronation(戴冠記念)
材質白銅
重量28.28g
直径38.61mm
参照番号KM#30

英国 エドワード7世 1ペニー銅貨 1910年

1910年に英国で発行された1ペニー銅貨を紹介します。 1910年は、エドワード7世の在位中(1901年ー1910年)最後の年に当たります。 エドワード7世はビクトリア女王の長男。 ビクトリア女王の治世が長かったせいで、即位したのは59歳の時だったとか。 若かりし頃の紅顔の...