今回は、英国(正確にはイングランド)で1697年に鋳造されたハーフペニー銅貨を紹介します。
見ての通り、320年以上も前の銅貨ということもあり、かなり磨耗しています。
しかし、それも味というものです。
まずは歴史のおさらいから。
1688年から1689年にかけて、イングランドでは名誉革命が起きました。
その結果、時の国王であるジェームス2世が追放され、1689年にジェームス2世の娘であるメアリー2世と、その配偶者であるウィリアム3世がイングランドの王位につきました(共同統治)。
そして、1694年のメアリー2世崩御後は、このウィリアム3世が1702年まで単独の国王となっています。
この銅貨は、その時期のものです。
「名誉」革命とは言うものの、ジェームス2世に男子が生まれた際に、このままでは再びカトリック教徒の国王が即位してしまうため、それを阻止すべく議会がプロテスタントのメアリー2世を担ぎ上げたり、
フランスのルイ14世に侵略されそうになっているオランダを救うべく、オランダのオレンジ公ウィリアムがイングランドの王になろうとしたりと、
あまり他の国の王室についてあれこれ言いたくはありませんが、イングランドの国王もかなり恣意的なもののようです。
というようなことを踏まえつつ、このハーフペニー銅貨を見てみましょう。
表は、月桂冠を被り、胴よろいを着た右向きのウィリアム3世の肖像です。
銘は、右側がほとんど消えかかっていますが、GVLIELMVS TERTIVS (William the Third)。
GVLIELMVS グリエルムス とはラテン語のウィリアムで、TERTIVS はラテン語の第3の、3世を表すとのことです。
裏は、左向きに座ったブリタニアが大きく描かれています。
右手にはオリーブの枝、左手で槍を抱え、左側にはユニオン旗の盾があります。
銘は、ブリタニアの左右に BRITAN NIA、下に1697 と記されています。
彫刻師は、John Roettier (1631-1703)。
2020年2月現在、この銅貨は私が所有する最も古い硬貨です。
また、このハーフペニー銅貨のお陰で、久々に昔高校で習った「名誉革命」や「オレンジ公ウィリアム」などといった歴史用語に再会することができました。
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