今回は、1889年に英領インド帝国で鋳造された1ルピー銀貨を紹介します。
英領インド帝国は、1858年に英国王室が東インド会社から統治権を譲渡されたことによって成立しました。
表は、王冠を被った左向きのビクトリア女王が描かれています。
銘は、VICTORIA EMPRESS。
1877年にインド帝国は、英国の君主がインド皇帝を兼ねる同君連合となり、それまでQUEENと書かれていたものがEMPRESSに変更されました。
1862年-1876年 QUEEN
1877年-1901年 EMPRESS
従って、上記で左向きのビクトリア「女王」と書きましたが、正確にはビクトリア「女帝」と書くべきかもしれません。
彫刻師は、William Wyon (1795-1851) です。
裏は、中央に、ONE RUPEE, INDIA, 1889と、金額、国名、年が記載され、
その周りに、花のリースが描かれています。
下方で並んでいる2つの花は、英国の国花であるバラ(チューダーローズ)でしょうか。
その他の花は、インドの国花が蓮なので蓮なのかなとも思ったのですが、葉がどう見ても蓮の葉には見えません。
因みに、時代が下った1918年の1ルピー銀貨の花のリースは以下の通りです。
一番上の花が横から見た蓮で、一番下の花が上から見た蓮です。
また、その他の花も、チューダーローズ(イングランドの国花)、シャムロック(アイルランドの国花)、アザミ(スコットランドの国花)と、より英国色が鮮明になっています。
1889年の1ルピー銀貨は、ボンベイとカルカッタの2ヶ所で鋳造されていました。
この1ルピー銀貨は、ボンベイ鋳造です。
ONE の上に、ボンベイ造幣局を表す B のミントマークが見えます。
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