2019年12月31日火曜日

ニュージーランド エリザベス2世 50セント記念硬貨 2015年

今回は、2015年に鋳造されたニュージーランドの50セント記念硬貨を紹介します。

The Spirit of ANZAC。

ANZACとは、第一次世界大戦時に編成されたThe Australia and New Zealand Army Corps=オーストラリア・ニュージーランド軍団のことです。

この軍団が、1915年4月25日にオスマン帝国(現トルコ)のガリポリ海岸に上陸を敢行して、多数の犠牲者を出しました。

この上陸作戦の100周年を記念して、この硬貨が発行された訳です。

実は、このANZAC軍団と日本とは深い関係があります。

日本は1902年から日英同盟を結んでいた関係で、1914年に始まった第一次世界大戦では英国、オーストラリア、ニュージーランドなどと同じ連合国側に属していました。

そのため、ANZAC軍団がインド洋を横断して欧州戦線に遠征する際には、大日本帝国海軍の巡洋戦艦・伊吹が、その船団の護衛任務にあたったのです。

このような事実は、ニュージーランド人でも、否、日本人でさえ知っている人は少ないと思われるので、是非伝えていきたい歴史です。

実は、この事が言いたくて、この硬貨の紹介をしている次第です。

表は、王冠を被った右向きのエリザベス2世の肖像が描かれています。

銘は、NEW ZEALAND ELIZABETH II 2015。

彫刻師は Ian Rank-Broadley (1952- ) で、2015の上にIRBのイニシャルが見えます。

ニッケルメッキの鉄製でピカピカです。

裏は、黒を背景に、ANZAC軍団のニュージーランド兵とオーストラリア兵が背中合わせに立って、戦死者に対して黙祷をしています。

写真では見づらいかと思いますが、両兵士の正面に描かれた模様は、銀色ではなく白色で描かれています。

この白いデザインは、マンゴペア Mangopare と呼ばれるハンマーヘッド・シャークを模したマオリ族のデザインで、力や強い意志を表しているとのこと。

また、その両脇にはニュージーランドの象徴であるシルバーファーン(銀シダ)が描かれています。

リボンには、1915-2015と、ガリポリ上陸作戦の年と、百周年の年が記されています。

銘は、・THE SPIRIT OF ANZAC・WE WILL REMEMBER THEM・50 CENTS。

彫刻師は David Burke。

この硬貨は、カナダ王立造幣局で100万枚鋳造された、ニュージーランド初の色付き流通硬貨だとのこと。

黒や白の色が付いたこの硬貨を最初に見た時は、ピカピカだったこともあり、ゲームコーナーのメダルかと思いました。

思わず、アンティーク・ショップのおじさんに「これは本物ですか?」と聞いたほどです。

するとそのおじさんはグーグルで調べてくれ、おまけに無料(タダ)でくれたのです。

本当にいい人です。

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国名ニュージーランド
金額50セント
発行年2015年
発行枚数1,000,000
統治者エリザベス2世(在位1952-)
硬貨タイプ記念流通貨 The Spirit of ANZAC
材質ニッケルメッキ鉄
重量5g
直径24.75mm
参照番号KM#376

2019年12月28日土曜日

オーストラリア ジョージ6世 6ペンス銀貨 1951年

今回は、1951年にオーストラリアで鋳造された6ペンス銀貨を紹介します。


直径19.5mm、重さ2.82g、銀の含有率50%の小さな銀貨です。

しかし、英国では1946年には銀貨(含有率50%)は鋳造されなくなって、翌年以降コッパーニッケルになってしまったのに対して、オーストラリアではこの銀貨のように1963年まで銀貨(含有率50%)を鋳造し続けていました。

大したものです。




表は、左を向いたジョージ6世の肖像が描かれています。

銘は、GEORGIVS VI D:G:BR: OMN:REX FIDEI DEF.。

George VI, by the Grace of God, King of all the British Territories, Defender of the Faith

ジョージ6世の6ペンスには、鋳造年によって以下の3つのタイプがあります。

1.タイプ1 1938年ー1945年 銀の含有量92.5%

2.タイプ2 1946年ー1948年 変更点:銀の含有量50.0%

3.タイプ3 1950年ー1952年 変更点:銘からIND:IMPが削除された

この1951年鋳造の銀貨はタイプ3ということになります。

英国の君主は、1877年以降インド帝国(1858-1947)の皇帝を兼ねていました(同君連合)。

従って、タイプ1とタイプ2の銘の中には、IND:IMP (Emperor of India) の文言が入っていました。

しかし、1947年にインドが英国から独立したため、タイプ3の銘からは IND:IMP (Emperor of India) が削除されています。

コインから学ぶ生きた歴史です。

こうやって歴史が身近に感じられるようになるのも、コイン収集の醍醐味のひとつと言えるでしょう。

細かいことを言うと、1948年には既にインドは独立していたにもかかわらず、ジョージ6世はまだインド皇帝を名乗っていたことになります。

彫刻師は、英国の Thomas Humphrey Paget (1893-1974)。





肖像の下(DEF. の左上)にHPのイニシャルが見えます。

裏は、オーストラリアの国章が描かれています。

Wikipediaより


この国章は1908年制定の古いバージョンで、盾の中に6州の紋章が描かれた現行の国章ではありません。

盾の中心には聖ジョージの十字が描かれ、その周りに6州を表す6つのシェブロン(山形袖章)が配置されています。

因みに、4年後の1912年には、盾の中に6州の紋章が描かれるべきだということで、早くも現行の国章に変更されています。

現行の国章 Wikipediaより

にも拘らず、1908年制定の古い国章は、6ペンス銀貨では1910年から1963年まで通しでずっと使われています。

因みに、フローリン銀貨も1912年以降も古い国章が使われ続けていましたが、ようやく1938年以降は現行の国章に変更されています。

なぜその時に一緒に6ペンス銀貨も変更されなかったのでしょうか。

多分、小さすぎて盾の中に6州の紋章が収まらなかったからだと愚考しますがどうでしょう。

盾の左側にはカンガルー、右側にはエミューがいて、それぞれ盾を支えています。

特に、エミューの右足には注目です。

よく見て下さい。

頑張っています。

因みに、現行の国章のエミューは胸で盾を支えています。

もう右足が上がらなくなってしまったのでしょうか。

盾の上には七芒星、下にはスクロールの中にオーストラリアのモットーである ADVANCE AUSTRALIA 。

そして、上部にはSIX PENCE、下部には1951と記されています。

彫刻師は、ロンドン王立造幣局の彫刻家 William Henry James Blakemore (1871-1945)。

1951年の6ペンス銀貨は、オーストラリアのメルボルンと英国のロンドンの2カ所で鋳造されています。

造幣局のマークがなければメルボルン、PLのマークがあればロンドン。

この銀貨には造幣局のマークがないので、メルボルン鋳造と判ります。

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国名オーストラリア
金額6ペンス
発行年1951年
発行枚数13,760,000 (メルボルン造幣局)
統治者ジョージ6世(1936-1952)
硬貨タイプ標準流通貨
材質銀(.500)
重量2.82g
直径19.5mm
参照番号KM#45


2019年12月24日火曜日

英国 ジョージ5世 6ペンス銀貨 1934年

今回は、英国で1934年に鋳造された6ペンス銀貨について紹介します。



直径20mmの1円よりちょっと小さくて、直径は19mm。

ただし、重さは2.83g(1円は1g)、銀の含有量は50.0%です。

この6ペンス銀貨は、とにかくラッキーコイン。

取り分けられた自分のクリスマス・プディングに入っていたら良いことがある、

結婚式の時に身に着けると幸せになる、

とのこと。

この銀貨は、これまでに何人のクリスマス・プディングに入り、何人の花嫁の左側の靴に入ってきたのでしょうか。

とりあえず、噛み跡はないようです。























表は、ジョージ5世の左向きの肖像が描かれています。

ジョージ5世の6ペンス銀貨は、鋳造年によって以下の4つのタイプがあります。

1.タイプ1 1911年ー1920年 銀の含有量92.5%

2.タイプ2 1920年ー1926年 変更点:銀の含有量50.0%

3.タイプ3 1926年ー1927年 変更点:肖像の修正

4.タイプ4 1927年ー1936年 変更点:裏側のデザイン変更

この1934年鋳造の銀貨はタイプ4ということになります。

銘は、GEORGIVS V D.G.BRITT: OMN: REX F. D. IND: IMP:。

George V, by the Grace of God, King of all Britains, Defender of the Faith, Emperor of India

ジョージ5世、神の恩寵による英国の国王、信教擁護者、インド皇帝

彫刻師は、オーストラリアのメダリスト Edgar Bertram MacKennal (1863-1931)。

本当は首の断面に B.M. のイニシャルがあるらしいですが、残念ながらこの銀貨は摩耗していて見えません。























裏は、2つに枝分かれしその先に合計6個のドングリが付いた、3本のオークの小枝が組み合わされて描かれています。

紋章や王冠などを見慣れた目には、ちょっと変わったデザインで、好きです。

上部に SIX PENCEと金額が、下部に A・1934・D と年が、それぞれ記されています。

両脇のADは、紀元後という意味でしょうか?

まだ経験が浅いせいか、年と一緒に記されている例は、他に見たことがありません。

彫刻師は、George Kruger Gray (1880-1943)。















中央に、KG のイニシャルが見えます。

1934年の鋳造枚数は9.3百万枚。



タイプ4の平均鋳造枚数が18.3百万枚なので、そのおよそ半分の鋳造枚数です。

奇しくも、今日はクリスマス・イブ。

残念ながら我が家にクリスマス・プディングはありませんが、この6ペンス銀貨を眺めながら、夕食後にチーズケーキを食べたいと思います。

みなさん、メリー・クリスマス!

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国名英国
金額6ペンス
発行年1934年
発行枚数9,304,000
統治者ジョージ5世(在位1910-1936)
硬貨タイプ標準流通貨
材質銀(.500)
重量2.83g
直径19mm
参照番号KM#832, Sp#4040-1

英国 エドワード7世 1ペニー銅貨 1910年

1910年に英国で発行された1ペニー銅貨を紹介します。 1910年は、エドワード7世の在位中(1901年ー1910年)最後の年に当たります。 エドワード7世はビクトリア女王の長男。 ビクトリア女王の治世が長かったせいで、即位したのは59歳の時だったとか。 若かりし頃の紅顔の...