直径19.5mm、重さ2.82g、銀の含有率50%の小さな銀貨です。
しかし、英国では1946年には銀貨(含有率50%)は鋳造されなくなって、翌年以降コッパーニッケルになってしまったのに対して、オーストラリアではこの銀貨のように1963年まで銀貨(含有率50%)を鋳造し続けていました。
大したものです。
表は、左を向いたジョージ6世の肖像が描かれています。
銘は、GEORGIVS VI D:G:BR: OMN:REX FIDEI DEF.。
George VI, by the Grace of God, King of all the British Territories, Defender of the Faith
ジョージ6世の6ペンスには、鋳造年によって以下の3つのタイプがあります。
1.タイプ1 1938年ー1945年 銀の含有量92.5%
2.タイプ2 1946年ー1948年 変更点:銀の含有量50.0%
3.タイプ3 1950年ー1952年 変更点:銘からIND:IMPが削除された
この1951年鋳造の銀貨はタイプ3ということになります。
英国の君主は、1877年以降インド帝国(1858-1947)の皇帝を兼ねていました(同君連合)。
従って、タイプ1とタイプ2の銘の中には、IND:IMP (Emperor of India) の文言が入っていました。
しかし、1947年にインドが英国から独立したため、タイプ3の銘からは IND:IMP (Emperor of India) が削除されています。
コインから学ぶ生きた歴史です。
こうやって歴史が身近に感じられるようになるのも、コイン収集の醍醐味のひとつと言えるでしょう。
細かいことを言うと、1948年には既にインドは独立していたにもかかわらず、ジョージ6世はまだインド皇帝を名乗っていたことになります。
彫刻師は、英国の Thomas Humphrey Paget (1893-1974)。
肖像の下(DEF. の左上)にHPのイニシャルが見えます。
裏は、オーストラリアの国章が描かれています。
Wikipediaより |
この国章は1908年制定の古いバージョンで、盾の中に6州の紋章が描かれた現行の国章ではありません。
盾の中心には聖ジョージの十字が描かれ、その周りに6州を表す6つのシェブロン(山形袖章)が配置されています。
因みに、4年後の1912年には、盾の中に6州の紋章が描かれるべきだということで、早くも現行の国章に変更されています。
現行の国章 Wikipediaより |
にも拘らず、1908年制定の古い国章は、6ペンス銀貨では1910年から1963年まで通しでずっと使われています。
因みに、フローリン銀貨も1912年以降も古い国章が使われ続けていましたが、ようやく1938年以降は現行の国章に変更されています。
なぜその時に一緒に6ペンス銀貨も変更されなかったのでしょうか。
多分、小さすぎて盾の中に6州の紋章が収まらなかったからだと愚考しますがどうでしょう。
盾の左側にはカンガルー、右側にはエミューがいて、それぞれ盾を支えています。
特に、エミューの右足には注目です。
よく見て下さい。
頑張っています。
因みに、現行の国章のエミューは胸で盾を支えています。
もう右足が上がらなくなってしまったのでしょうか。
盾の上には七芒星、下にはスクロールの中にオーストラリアのモットーである ADVANCE AUSTRALIA 。
そして、上部にはSIX PENCE、下部には1951と記されています。
彫刻師は、ロンドン王立造幣局の彫刻家 William Henry James Blakemore (1871-1945)。
1951年の6ペンス銀貨は、オーストラリアのメルボルンと英国のロンドンの2カ所で鋳造されています。
造幣局のマークがなければメルボルン、PLのマークがあればロンドン。
この銀貨には造幣局のマークがないので、メルボルン鋳造と判ります。
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