2019年12月28日土曜日

オーストラリア ジョージ6世 6ペンス銀貨 1951年

今回は、1951年にオーストラリアで鋳造された6ペンス銀貨を紹介します。


直径19.5mm、重さ2.82g、銀の含有率50%の小さな銀貨です。

しかし、英国では1946年には銀貨(含有率50%)は鋳造されなくなって、翌年以降コッパーニッケルになってしまったのに対して、オーストラリアではこの銀貨のように1963年まで銀貨(含有率50%)を鋳造し続けていました。

大したものです。




表は、左を向いたジョージ6世の肖像が描かれています。

銘は、GEORGIVS VI D:G:BR: OMN:REX FIDEI DEF.。

George VI, by the Grace of God, King of all the British Territories, Defender of the Faith

ジョージ6世の6ペンスには、鋳造年によって以下の3つのタイプがあります。

1.タイプ1 1938年ー1945年 銀の含有量92.5%

2.タイプ2 1946年ー1948年 変更点:銀の含有量50.0%

3.タイプ3 1950年ー1952年 変更点:銘からIND:IMPが削除された

この1951年鋳造の銀貨はタイプ3ということになります。

英国の君主は、1877年以降インド帝国(1858-1947)の皇帝を兼ねていました(同君連合)。

従って、タイプ1とタイプ2の銘の中には、IND:IMP (Emperor of India) の文言が入っていました。

しかし、1947年にインドが英国から独立したため、タイプ3の銘からは IND:IMP (Emperor of India) が削除されています。

コインから学ぶ生きた歴史です。

こうやって歴史が身近に感じられるようになるのも、コイン収集の醍醐味のひとつと言えるでしょう。

細かいことを言うと、1948年には既にインドは独立していたにもかかわらず、ジョージ6世はまだインド皇帝を名乗っていたことになります。

彫刻師は、英国の Thomas Humphrey Paget (1893-1974)。





肖像の下(DEF. の左上)にHPのイニシャルが見えます。

裏は、オーストラリアの国章が描かれています。

Wikipediaより


この国章は1908年制定の古いバージョンで、盾の中に6州の紋章が描かれた現行の国章ではありません。

盾の中心には聖ジョージの十字が描かれ、その周りに6州を表す6つのシェブロン(山形袖章)が配置されています。

因みに、4年後の1912年には、盾の中に6州の紋章が描かれるべきだということで、早くも現行の国章に変更されています。

現行の国章 Wikipediaより

にも拘らず、1908年制定の古い国章は、6ペンス銀貨では1910年から1963年まで通しでずっと使われています。

因みに、フローリン銀貨も1912年以降も古い国章が使われ続けていましたが、ようやく1938年以降は現行の国章に変更されています。

なぜその時に一緒に6ペンス銀貨も変更されなかったのでしょうか。

多分、小さすぎて盾の中に6州の紋章が収まらなかったからだと愚考しますがどうでしょう。

盾の左側にはカンガルー、右側にはエミューがいて、それぞれ盾を支えています。

特に、エミューの右足には注目です。

よく見て下さい。

頑張っています。

因みに、現行の国章のエミューは胸で盾を支えています。

もう右足が上がらなくなってしまったのでしょうか。

盾の上には七芒星、下にはスクロールの中にオーストラリアのモットーである ADVANCE AUSTRALIA 。

そして、上部にはSIX PENCE、下部には1951と記されています。

彫刻師は、ロンドン王立造幣局の彫刻家 William Henry James Blakemore (1871-1945)。

1951年の6ペンス銀貨は、オーストラリアのメルボルンと英国のロンドンの2カ所で鋳造されています。

造幣局のマークがなければメルボルン、PLのマークがあればロンドン。

この銀貨には造幣局のマークがないので、メルボルン鋳造と判ります。

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国名オーストラリア
金額6ペンス
発行年1951年
発行枚数13,760,000 (メルボルン造幣局)
統治者ジョージ6世(1936-1952)
硬貨タイプ標準流通貨
材質銀(.500)
重量2.82g
直径19.5mm
参照番号KM#45


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