2019年12月1日日曜日

オーストラリア エリザベス2世 1フローリン銀貨 1963年

今回は、1963年にオーストラリアで鋳造された1フローリン銀貨を紹介します。


オーストラリアは1966年に十進法化されて、オーストラリア・ポンドからオーストラリア・ドルに変わりましたが、1963年はまだポンドの時代でした。

また、1966年の十進法化に備えて、フローリン銀貨の鋳造は1963年で終了したので、この銀貨は最後の年の銀貨ということになります。

1フローリンは2シリング。

2シリングは24ペンス。

1ポンドは240ペンスなので、1フローリンは10分の1ポンドです。

大きさは、直径28.50mm、銀の含有率は50%です。

フローリン銀貨は、1910年から1945年までは銀の含有率が92.5%のスターリング・シルバーでしたが、1946年以降は50%に下げられています。







表は、月桂冠をいただいた、右向きのエリザベス2世の胸像です。

銘は、+ELIZABETH・II・DEI・GRATIA・REGINA・F:D:(Elizabeth II, by the Grace of God, Queen, Defender of the Faith) です。

彫刻師は、Mary Gillick (1881-1965) です。

尚、絶対にあると思って見れば見えるかもしれない程度に、胸像の肩の下の断面に M.G.のイニシャルがあります。

(カナダの1963年の50セント銀貨の彫刻師も同じMary Gillickで、それには M.G. のイニシャルがあったので、もしやと思って見たのですが、かすかではありますが確かにM.G. のイニシャルがあります。)























裏は、オーストラリアの国章です。

王冠の下の盾は、6つに仕切られており、それぞれにはオーストラリアの6つの州の紋章が描かれています。

そして、その盾を、オーストラリアの在来種の動物であるカンガルーとエミュが左右で支えています。

ここでひとつ問題です。

下にオーストラリアの国章のイラストがありますが、6つの州の紋章の内、ひとつだけ銀貨の紋章と違うものがあります。

それはどれでしょう。

正解は、、、どうぞ、読み続けて下さい。



















6つの州の紋章は、左上から時計周りに、

1.左上:ニューサウスウェールズ州 ライオンと星のセント・ジョージ・クロス

2.中上:ビクトリア州 セント・エドワードの王冠とサザンクロス

3.右上:クイーンズランド州 マルタ・クロスと王冠

4.右下:タスマニア州 赤いライオン

5.中下:西オーストラリア州 黒鳥

6.左下:南オーストラリア あれ? 鳥?

どう見ても、銀貨の紋章とイラストの紋章は違って見えます。

それもそのはず。

現在の南オーストラリアの紋章は、パイピング・シュライクという白黒の百舌鳥で、イラストでも羽を広げた鳥が描かれているのですが、1936年から1984年までは以下の紋章であったとのこと。
























太陽(?)と共に、何かが描かれています。

(残念ながら、これらが何を意味するかは分かりませんでした。)

そう思って、もう一度銀貨の紋章を見てみると、確かに同じ紋章です。

従って、正解は南オーストラリア州の紋章でした。

先に進みます。

盾や動物の背景にある植物は、オーストラリアの国花である golden wattle という黄色いアカシアの花です。

(オーストラリアのスポーツチームが着るユニフォームの色が黄色(黄金)と緑なのは、このアカシアから来ているとのことです。この知識、いつか合コンで使えそうです。)

一番上に記されている FLORIN の両脇には、七芒星があります。

これは、6つの州と、その他のテリトリー(北部準州やノーフォーク・アイランド)を表しているそうです。

そして、一番下には、1963 AUSTRALIA と、年号と国名が記載されています。

彫刻師は、George Kruger Gray 。

エミューの首の右辺りに K・G のイニシャルがはっきりと見えます。

一枚の銀貨を通じて、これで貴方も立派なオーストラリア通です。

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国名オーストラリア
金額1フローリン(=2シリング)
発行年1963年
発行枚数12,002,000
統治者エリザベス2世(1952 - )
硬貨タイプ標準流通貨
材質銀(.500)
重量11.31g
直径28.50mm
参照番号KM#60

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