1787年の発行です。
今から230年以上前に作られました。
イギリスでは産業革命真っ盛り、11年前の1776年にはアメリカ独立宣言がなされ、2年後の1789年にはフランス革命が起きた激動の時代です。
6ペンス銀貨なので、直径は21mm、重さも3グラムと小ぶりです。
表側には、甲冑を着用して月桂冠をいただいたジョージ3世の胸像が描かれています。
そして、周りには、GEORGIVS III DEI GRATIA (ジョージ3世 神の恩寵によって)とラテン語で銘が書かれています。
裏側には、ガーター勲章を中心に、ジョージ3世の紋章が4つ十字に配置され、その間に王冠が斜めに4つ置かれています。
上の紋章は、左側が3頭のライオンのイングランド、右側が1頭のスコットランド。
右の紋章は、3つの百合の花のフランス。
下の紋章は、ハープのアイルランド。
そして左の紋章が、ハノーバー家の紋章です。
周りには、簡略化されたラテン語で M B F ET H REX F D B ET L D S R I A T ET E 1787 と銘が書かれています。
これは、King of Great Britain, France and Ireland, Defender of the Faith, Duke of Brunswick and Lueneburg, Arch Treasurer and Elector of the Holy Roman Empire 1787 という意味だとのこと。
グレートブリテン、フランス、及びアイルランド国王、信仰の擁護者、ブラウンシュヴァイク=リューネブルク公爵、神聖ローマ帝国財貨長官及び選帝侯、1787年、と訳してみました。
祖父のジョージ1世がドイツのハノーファー出身ということで、神聖ローマ帝国の選帝侯などはまだ合点がいくのですが、フランス国王というのは実態があったのでしょうか。
調べてみると、1328年にプランタジネット朝のエドワード3世がフランス王位継承を主張し、1340年にフランスの紋章を使い始めてから、途中百年戦争(1337年-1453年)でフランスにおける領土は失ったものの、1801年にジョージ3世が正式にフランス王位に対する要求を諦めるまで、ずっとフランスの紋章を使い続けていたとのことです。
1787年の次の6ペンス銀貨の鋳造は1816年ですが、確かにその銀貨からはフランスの紋章が消えています。
こんなことを知ることができるのも、コイン収集の醍醐味だと言えるでしょう。
彫刻師は、両面とも、Lewis Pingoです。
この1787年の6ペンス銀貨には2つのバージョンがあります。
ハノーバー家の紋章の右上にあるブラウンシュヴァイク(ブランズウィック)の紋章の中にハート印があるものとないものです。
上図の通り、ハート印は本来あるべきものですが、最初は誤ってないものが鋳造され、途中でないことに気づいて金型を作り直したとのこと。
今回紹介している銀貨はハート印がある方です。
ちょっと見づらいですが、右上のライオンの上に点(ハート印?)が見えます。
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