2019年11月29日金曜日

カナダ エリザベス2世 50セント銀貨 1963年

今回は、1963年にカナダで鋳造された50セント銀貨を紹介します。

エリザベス2世の初登場です。

「時代はちょっと下るけど、このコインはもう見た?」

あるアンティークショップで銅貨を漁っていた私に、お店の女性が声をかけてくれました。

見ると、小皿に雑多な銀貨が入っていました。

その中から見つけたのがこの一枚。

1963年製ですが、立派な銀貨です。

銀の含有率は80%。

大きさも直径が29.72mmあり、直径26.5mmの日本の五百円硬貨よりも大きいです。

表は、右を向いたエリザベス2世の胸像。

50セント銀貨に使われたエリザベス女王の胸像は、以下の通り全部で4つあり、この胸像はその最初のもので、27歳のエリザベス女王が描かれています。

1.第1胸像 1953年-1964年 27歳のエリザベス女王

2.第2胸像 1965年-1989年 39歳のエリザベス女王

3.第3胸像 1990年ー2003年 64歳のエリザベス女王

4.第4胸像 2003年ー       年齢不詳のエリザベス女王

周りの銘は、ELIZABETH II DEI GRATIA REGINA (Elizabeth II, Queen by the Grace of God)。

彫刻師は、Mary Gillick (1881-1965)で、肩の下の断面に M.G. のイニシャルが見えます。

裏には、カナダの国章が描かれています。

この国章は、英国の国章(=国王の紋章)を基にして、1921年11月21日にジョージ5世によって制定され、1957年に修正されたそうです。

王冠の下のライオンがメープルリーフを持っていたり、盾の中にメープルリーフが描かれたりしているのが、なんともカナダらしくて面白いです。


by Jorge Compassio(ウィキペディアより)


中央の盾の紋章は5つに分かれていて、

1.左上:3頭のライオンのイングランド国章

2.右上:1頭のライオンのスコットランド国章

3.左下:ハープのアイルランド国章

4.右下:百合の花のフランス王家の紋章

5.下:3枚のメープルリーフ

が描かれています。

その盾を、左側のイングランドのライオンが英国のユニオン旗を持ち、右側のスコットランドのユニコーンがフランス王旗を持ちながら、支えています。

また、盾の下のバナーには、ラテン語で、

A MARI USQUE AD MARE (From sea to sea)

とカナダのモットーが書かれています。

そして、一番下には、イングランドのバラ、スコットランドのアザミ、アイルランドのシャムロック(三つ葉のクローバー)、フランスのユリの花が描かれています。

ユリの花やフランス王旗などが描かれているのは、カナダの一部が元フランスの植民地で、フランス語圏を抱えているからでしょうか。

こういうことを知るのも中々楽しく、コイン収集の醍醐味です。

銘は、上の王冠を挟んで1963、左にCANADA、右に50 CENTSと記されています。

彫刻師は、Thomas Shinglesで、盾とバナーの間(USQUEの上)にT.S.のイニシャルが見えます。

にほんブログ村 コレクションブログ コイン・貨幣へ
にほんブログ村

国名カナダ
金額50セント
発行年1963年
発行枚数8,348,871
統治者エリザベス2世(在位1952 - )
硬貨タイプ標準流通貨
材質銀(.800)
重量11.6638g
直径29.72mm
参照番号KM#56, Schon#54

2019年11月24日日曜日

英領セイロン エドワード7世 10セント銀貨 1907年

今回は、1907年鋳造の英領セイロン10セント銀貨の紹介です。

クライストチャーチのアンティークショップで見つけました。

私のコレクションも遂にセイロン島に上陸です。

私「すいません、これをください」(と、箱の中から選び出した銀貨をカウンターに置く)

店のおばさん「あら、ずいぶん小さいコインね」(と、私の顔を見ながら驚く)

店のおじさん「それはどこのコインだい?」(と、横から口を挟む)

店のおばさん「えーと、どこの国かしら」(と、コインを覗き込む)

私「セイロンです」(と、会話に割り込む)

店のおじさん「ああセイロンか。今のスリランカだね」(と、自慢げに知識を披露する)

私「そうですね」(と、付き合う)

店のおばさん「これはいくらだったかしら、、、」(と、値札を探す)

私「箱に2ドルって書いてありますよ」(と、死角になっていた箱の反対側を指し示す)

店のおばさん「あら、ほんとだ」(と、納得する)

ということで、上記の寸劇(全て事実です)にもある通り、確かに、店のおばさんが驚くほどこの銀貨は小さいです。

直径は1.55cmしかありません。

この通り、日本の1円玉より小さいのです。


















銀の含有量は80%。

重さは1.1664gですが、それでも立派な銀貨です。

セイロンの通貨はルピーで、1ルピー=100セントと十進法が使われています。

カナダがアメリカとの関係で十進法のセントを使用したのはすぐに合点がいきましたが、すぐ隣のインドが1ルピー=16アンナの時代に、どうして十進法が採用されたのか是非知りたいものです。

尚、当時のカナダの5セント銀貨も同じ寸法の1.55cmでした(ただし、銀の含有量は92.5%のスターリングシルバー)。

当時のセイロンとカナダの為替の交換比率はおよそ2:1だったのでしょうか。























表は、王冠を被ったエドワード7世の右向きの胸像。

周りの銘は、EDWARD VII KING & EMPEROR です。

彫刻師は、George William de Saulles(1862-1903)で、胸像の下に De S.とイニシャルが見えます。



裏は、中央に椰子の木(?)があり、10 CENTSと額が書かれています。

周りは、上にCEYLONと国名、左にはタミル語で10セント、右にはシンハラ語で10セントと表記され、下には1907と年号が記されています。

彫刻師は、Leonard Charles Wyon (1826-1891) です。

エドワード7世在位中(1901年ー1910年)の年別鋳造枚数はこちらです。



在位期間中の平均鋳造枚数1.2百万枚に対して、1907年の鋳造枚数は最も少なく半分以下の0.5百万枚ですから、かなり貴重といえるかもしれません。

尚、セイロンは、

1505-1658 ポルトガル領

1658-1796 オランダ領

1815-1948 英国領(1796-1815はナポレオン戦争関係で英国が非公式に領有)

と、西洋列強に領有されていました。

にほんブログ村 コレクションブログ コイン・貨幣へ
にほんブログ村

国名英領セイロン
金額10セント
発行年1907年
発行枚数500,000
統治者エドワード7世(在位1901-1910)
硬貨タイプ標準流通貨
材質銀(0.800)
重量1.1664g
直径15.5mm
参照番号KM#97

英国 エドワード7世 1ペニー銅貨 1910年

1910年に英国で発行された1ペニー銅貨を紹介します。 1910年は、エドワード7世の在位中(1901年ー1910年)最後の年に当たります。 エドワード7世はビクトリア女王の長男。 ビクトリア女王の治世が長かったせいで、即位したのは59歳の時だったとか。 若かりし頃の紅顔の...