エリザベス2世の初登場です。
「時代はちょっと下るけど、このコインはもう見た?」
あるアンティークショップで銅貨を漁っていた私に、お店の女性が声をかけてくれました。
見ると、小皿に雑多な銀貨が入っていました。
その中から見つけたのがこの一枚。
1963年製ですが、立派な銀貨です。
銀の含有率は80%。
大きさも直径が29.72mmあり、直径26.5mmの日本の五百円硬貨よりも大きいです。
表は、右を向いたエリザベス2世の胸像。
50セント銀貨に使われたエリザベス女王の胸像は、以下の通り全部で4つあり、この胸像はその最初のもので、27歳のエリザベス女王が描かれています。
1.第1胸像 1953年-1964年 27歳のエリザベス女王
2.第2胸像 1965年-1989年 39歳のエリザベス女王
3.第3胸像 1990年ー2003年 64歳のエリザベス女王
4.第4胸像 2003年ー 年齢不詳のエリザベス女王
周りの銘は、ELIZABETH II DEI GRATIA REGINA (Elizabeth II, Queen by the Grace of God)。
彫刻師は、Mary Gillick (1881-1965)で、肩の下の断面に M.G. のイニシャルが見えます。
裏には、カナダの国章が描かれています。
この国章は、英国の国章(=国王の紋章)を基にして、1921年11月21日にジョージ5世によって制定され、1957年に修正されたそうです。
王冠の下のライオンがメープルリーフを持っていたり、盾の中にメープルリーフが描かれたりしているのが、なんともカナダらしくて面白いです。
by Jorge Compassio(ウィキペディアより) |
中央の盾の紋章は5つに分かれていて、
1.左上:3頭のライオンのイングランド国章
2.右上:1頭のライオンのスコットランド国章
3.左下:ハープのアイルランド国章
4.右下:百合の花のフランス王家の紋章
5.下:3枚のメープルリーフ
が描かれています。
その盾を、左側のイングランドのライオンが英国のユニオン旗を持ち、右側のスコットランドのユニコーンがフランス王旗を持ちながら、支えています。
また、盾の下のバナーには、ラテン語で、
A MARI USQUE AD MARE (From sea to sea)
とカナダのモットーが書かれています。
そして、一番下には、イングランドのバラ、スコットランドのアザミ、アイルランドのシャムロック(三つ葉のクローバー)、フランスのユリの花が描かれています。
ユリの花やフランス王旗などが描かれているのは、カナダの一部が元フランスの植民地で、フランス語圏を抱えているからでしょうか。
こういうことを知るのも中々楽しく、コイン収集の醍醐味です。
銘は、上の王冠を挟んで1963、左にCANADA、右に50 CENTSと記されています。
彫刻師は、Thomas Shinglesで、盾とバナーの間(USQUEの上)にT.S.のイニシャルが見えます。
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