2019年10月27日日曜日

英国 エドワード7世 ファージング銅貨  1904年

今回は、1904年鋳造の英国ファージング銅貨を紹介します。

今まで、ポンドやペニーは聞いたことがありましたが、ファージングという言葉はコイン収集を始めるまで聞いたこともありませんでした。

ファージング FARTHING は、4分の1ペニーです。

英会話の先生に、

「昨日、リカトンのサンデーマーケットで、1904年のファージング銅貨を見つけて買いました」

と言ったら、

「ファージングは、クオーター(4分の1)という意味よ」

と教えてくれました。

コインが導く生きた英会話。

実際に手にしてみると、すごく小さいです。

何しろ、日本の1円硬貨と同じ直径20mm。

こちらの写真で比較してみて下さい。

⇒ 「英国の銅貨の比較 ペニー、ハーフペニー、ファージング」























表は、右向きのエドワード7世です。

周りには、

EDWARDVS VII DEI GRA:BRITT:OMN:REX FID:DEF:IND:IMP

(Edward the Seventh by the Grace of God King of all Britains Defender of the Faith Emperor of India)

の銘が刻まれています。

この写真でも分かると思いますが、1897年から1917年までの間、ファージング銅貨は酸煙を使って人工的に黒くされていたとのことです。

というのも、ハーフ・ソブリン金貨と同じ大きさ(直径20mm)で、鋳造したての場合、間違えてしまう可能性があったからだとのこと。

であれば、大きさを変えるという選択肢はなかったのでしょうか、という疑問は置いておいて、次に行きましょう。























裏は、お約束のブリタニア。

右向きに座ったブリタニアが、左手にトライデントを持ち、右手でユニオン旗柄の盾を持っています。

そして、上に FARTHING、下に 1904。

1904年といえば、日露戦争開戦の年です。

エドワード7世の治世の1902年に日英同盟が結ばれ、英国はロシアのバルチック艦隊が東航する際、陰に陽にその邪魔をして、日本の勝利に貢献してくれました。

この銅貨のお陰で、司馬遼太郎の「坂の上の雲」をもう一度読みたくなりました。

にほんブログ村 コレクションブログ コイン・貨幣へ
にほんブログ村

国名英国
金額ファージング
発行年1904年
発行枚数3,628,800
統治者エドワード7世(在位1901-1910)
硬貨タイプ標準流通貨
材質ブロンズ
重量2.83g
直径20mm
参照番号KM#792, Sp#3992

2019年10月26日土曜日

英国の銅貨の比較 ペニー、ハーフペニー、ファージング

コイン収集を始めるまで、英国の硬貨についての知識はゼロでした。

ペニーぐらいは知っていましたが、ハーフペニーやファージングなど聞いたこともありませんでした。

ましてや、それぞれがどんな姿形、大きさをしているかなど、知る由もなかったのです。

ということで、今回は3つの銅貨を並べて、比較をしてみたいと思います。

左から、ファージングFARTHING、ハーフペニーHALF PENNY、ペニーPENNY を並べてみました。













ファージングは4分の1ペニーで、このファージングは1904年のエドワード7世の時のもの。

ハーフペニーは2分の1ペニーで、このハーフペニーは1926年のジョージ5世の時のもの。

そして、このペニーは1938年のジョージ6世の時のものです。



それでは、色々と比較してみます。

0.額面金額

ファージングハーフペニーペニー
額面金額4分の1ペニー2分の1ペニー1ぺニー
2550100

1ペニーを100とした時に、2分の1ペニーのハーフペニーは50、4分の1ペニーのファージングは25となります。

果たして、それぞれの直径、面積、厚さ、体積、重さの内、どれが最もこの割合を表しているのでしょうか。

1.直径

ファージングハーフペニーペニー
直径20.0mm25.5mm30.8mm
6583100

直径が30.8mmのペニーを100とした時に、直径25.5mmのハーフペニーは83、直径20.0mmのファージングは65となります。

以下、同様に見てみましょう。

2.面積

ファージングハーフペニーペニー
面積314mm2510mm2745mm2
4268100

3.厚さ

ファージングハーフペニーペニー
厚さ1.3mm1.7mm1.6mm
81106100

4.体積

ファージングハーフペニーペニー
体積408mm3868mm31,191mm3
3473100

5.重さ

ファージングハーフペニーペニー
重さ2.83g5.67g9.45g
3060100

結論としては、重さが最も額面金額の割合を表しているといえるでしょう。

元々金属の重さで金額を表していたことを考えると、当たり前の結論となりました。

にほんブログ村 コレクションブログ コイン・貨幣へ
にほんブログ村

2019年10月22日火曜日

英国 ジョージ5世 1シリング銀貨 1935年

今回は、英国で1935年に鋳造された、1シリング銀貨を紹介します。

十進法導入前の1シリングは、12ペンス(ペンスはペニーの複数形)。

直径は23.5mm、重さは5.66g、銀の含有量は50.0%です。

(英国の銀貨は、1919年までは銀の含有量が92.5%のスターリングシルバーでしたが、1920年以降は50.0%になっています。)



表は、ジョージ5世の左向きの胸像が描かれています。

ジョージ5世の1シリング銀貨は、鋳造年によって以下の4つのタイプがあります。

1.タイプ1 1911年ー1919年 銀の含有量92.5%

2.タイプ2 1920年ー1926年 変更点:銀の含有量50.0%

3.タイプ3 1926年ー1927年 変更点:胸像の変更

4.タイプ4 1927年ー1936年 変更点:裏側の彫刻師の変更

この1935年鋳造の銀貨はタイプ4ということになります。

周りには、GEORGIVS V DEI GRA:BRITT:OMN:REX と銘が刻まれています。

(George the Fifth by the Grace of God King of all the Britains)

彫刻師は、オーストラリアのメダリストの Edger Bertram Mackennal(1863-1931) です。























裏は、王冠を被ったライオンが、王冠の上に立つ姿が描かれています。

そして、周囲には、FID・DEF・IND・IMP・ONE・SHILLING・1935 と銘が刻まれています

(Defender of the Faith Emperor of India)

裏側の彫刻師は、タイプ1からタイプ3までは George William de Saulles ですが、このタイプ4は George Kruger Gray (1880-1943) です。

ライオンの尻尾の上に、KG のイニシャルが見えます。

にほんブログ村 コレクションブログ コイン・貨幣へ
にほんブログ村

国名英国
金額1シリング
発行年1935年
発行枚数9,183,000
統治者ジョージ5世(在位1910-1936)
硬貨タイプ標準流通貨
材質銀(.500)
重量5.66g
直径23.5mm
参照番号KM#833, Sp#4039

2019年10月21日月曜日

イタリア ウンベルト1世 1リラ銀貨 1886年

今回は、イタリア王国(1861 - 1946)の1リラ銀貨の紹介です。

鋳造年は1886年。

日本の元号でいうと、明治19年に当たります。

イタリアは、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世によって1861年に統一されましたが、この銀貨が作られた1886年は、2代目のウンベルト1世の時代でした。

この銀貨の直径は23mm、重さは5g、銀の含有量は83.5%です。























表は、ウンベルト1世の右向きの胸像です。

周りには、UMBERTO I RE D'ITALIA 1886 と銘があります。

彫刻師は、ローマ造幣局の Filippo Speranza (1839 - 1903)で、首の下に、SPERANZA とサインが見えます。























裏は、アヌンツィアータの首輪と共に、王冠の乗ったサヴォイア家の紋章が中央に描かれ、左右に L 1(=1リラ)と金額が記されています。

サヴォイア家の紋章



















リースの右下には、ローマ造幣局を表す ”R” が見えます。

また、この銀貨のエッジには、FERT の文字が刻まれています。

これは、ラテン語の Foedere Et Religione Tenemur の頭文字で、

我等、法と神によって守られん

という国の標語だそうです。

この銀貨は、ニュージーランド・クライストチャーチのコインディーラーのお店で見つけました。

イタリアからの移民が持ってきたのか、それともイタリアに従軍した兵士が持ち帰ってきたのか?

いずれにせよ、この銀貨を手にすることによって、イタリア王国やウンベルト1世を知ることができ、また世界が広がりました。

にほんブログ村 コレクションブログ コイン・貨幣へ
にほんブログ村

国名イタリア
金額1リラ
発行年1886年
発行枚数6,015,352
統治者ウンベルト1世(在位1878-1900)
硬貨タイプ標準流通貨
材質銀(.835)
重量5g
直径23mm
参照番号KM#24

2019年10月18日金曜日

カナダ エドワード7世 25セント銀貨 1909年

今回は、1909年鋳造のカナダの25セント銀貨を紹介します。

私にとっては、記念すべき初めてのカナダのコインです。

カナダは位置的に米国との貿易関係が強く、英連邦ながら1858年に十進法のカナダドルを導入しています。

この銀貨の大きさは直径23.62mmで、英国の硬貨でいうと23.5mmの1シリング銀貨と同じぐらいの大きさです。























表は、エドワード7世の右向き胸像。

周りには、EDWARDVS VII DEI GRATIA REX IMPERATOR の銘。

Edward VII, King and Emperor by the grace of God

エドワード7世、神のご加護による国王、皇帝

彫刻師は、英国のメダリストである George William de Saulles (1862-1903)です。

あまりよく見えませんが、そのつもりで見ると、胸像の下のところに、DE S とイニシャルがあるようにも見えます。























裏は、上に王冠、両側にカナダらしくメープルの枝、そして中央に

25 CENTS CANADA 1909

とあります。

彫刻師は、英国造幣局の William Henry James Blakemore (1871-1945) です。

この銀貨は、ニュージーランド・クライストチャーチのコインディーラーのお店で見つけました。

ニュージーランドもカナダも同じ英連邦ということですが、どのようにして海を越えてカナダからやってきたのでしょうか。

にほんブログ村 コレクションブログ コイン・貨幣へ
にほんブログ村

国名カナダ
金額25セント
発行年1909年
発行枚数1,335,929
統治者エドワード7世(在位1901-1910)
硬貨タイプ標準流通貨
材質銀(.925)
重量5.81g
直径23.62mm
参照番号KM#11

2019年10月8日火曜日

ビクトリア時代のペニー銅貨 年別鋳造枚数

ビクトリア女王の在位中に鋳造されたペニー銅貨は、次の3種類です。

1.Young Head (1841-1860)

2.Bun Head (1860-1894)

3.Old Veiled Head (1895-1901)

肖像期間材質重量 (g)直径 (mm)
YOUNG
HEAD
1841-186018.9034.0
BUN
HEAD
1860-1894ブロンズ9.4530.8
OLD VEILED HEAD1895-1901ブロンズ9.4530.8


そして、年別の鋳造枚数は以下の通りです。

にほんブログ村 コレクションブログ コイン・貨幣へ
にほんブログ村

英国 エドワード7世 1ペニー銅貨 1910年

1910年に英国で発行された1ペニー銅貨を紹介します。 1910年は、エドワード7世の在位中(1901年ー1910年)最後の年に当たります。 エドワード7世はビクトリア女王の長男。 ビクトリア女王の治世が長かったせいで、即位したのは59歳の時だったとか。 若かりし頃の紅顔の...